そこで、そのランキングを元にしてTwitterに関する数字をまとめたのが下図になる。
出典:総合ユニコム株式会社 ニュースリリース (pdf)
どのレジャー・集客施設も、基本的にイベントやアトラクション、最新ビデオや画像の告知・案内、ブログ更新を中心としたツィートを行っている。
7つのカテゴリの中で最もTwitter対応が進んでいるがファームパークでトップ5中の4施設が対応済みだ。その次はテーマパークが3施設、遊園地や水族館が2施設、 フラワーパークとミュージアムが1施設で、まったく対応していないカテゴリが動物園となっている。
さて、35施設中、Twitter運用を行っている所は13施設に限られている。その13施設中で9施設しか他のTwitterユーザをフォローしていない。お気に入り機能を使っている所は2施設、リストを使っている所は4施設だ。どの施設もツィート以外はあまり活用していないようだ。
ノート:
- お気に入り
他ユーザのツィートをメモ的、備忘録的にチェックしておくことができる。お気に入りに入れたツィートをしたユーザにはメールが送信されるので、誰が自分のどんなツィートをお気に入りにしたのかが分かる。ただし、Twitterは毎回メールを送ってくるわけではないようだ。
さて、お気に入りを使っていないということは、1)使い方を知らない、2)他ユーザのツィートを見ていない、3)その他の理由が考えられる。
お気に入りを使っていない施設は、多分、1)と2)が大半だろう。 - リスト
10人程度のユーザをフォローし、全部合わせて1日に100件程度のツィートだとすると、毎日チェックすることもできる。しかし、100人、1000人をフォローしている場合、そんなことは無理だ。そこで、カテゴリ分けをして毎日チェックすべきユーザや、特定のテーマごとにユーザをグループ分けして特定グループ(リスト)のユーザのツィートを見ると効率よく、見逃すことなくチェックすることができる。
さて、リストを使っていないということは、1)使い方を知らない、2)他ユーザのツィートを見ていない、3)その他の理由が考えられる。
リストを使っていない施設は、多分、1)と2が大半だろう。 - お気に入りやリストを使っていない施設
は、大半が使い方を知らないのだろうが、ユーザの声を聞いてない、聞いていたとしても対応しないというケースもあるだろう。
それは、Twitterからの広報告知が目的で、ユーザ・利用者の声を吸い上げる、あるいは、アクティブサポートを行う体制ではないからだ。
さて、一方通行のコミュニケーションチャネルとして、昔ながらのニュースリリースや告知・案内を流しているだけで、顧客・利用者・ユーザとの会話を目的としたものではないことがTwitterユーザに分かる日はすぐ来ると思う。
さて、次に、施設別に見ると、東京ディズニーランド・シーがダントツで28万人以上のフォロワーを抱えている。 ただし、USJはこのランキングに入っているレジャー・集客施設中、最も多い3,800回以上もツィートしているし、2万人以上もフォローしており、2指標でトップということになる。
いや、東京ディズニーランド・シーのTwitterがダントツの影響力を持っていると思われる向きもあるだろうが、上で説明したようにフォローしているユーザ数が多い場合、タイムラインをツィートが流れてゆき、個々のツィートを確認することなど不可能に近い。facenaviによると、日本人ユーザの平均フォロー数は325人だ。このフォローしているユーザの中から特別なアカウントをリストに登録して、それを見ているユーザはどれくらいいるのだろう。東京ディズニーランド・シーをフォローしている28万人のうち、何%がツィートを見ているのだろう?
出典:facenavi Twitter日本人ユーザー・データ調査
そこで、TweetStats.comを使って、各アカウントがどのようなツィートを行っているかをもう少し詳しく見たのが下図になる。(リプライには、アカウント名を先頭につけたツィートと、アカウント名が文中にくるツィートも含まれる)
リプライもリツィートもしていないのは、東京ディズニーランド・シー、海遊館、マザー牧場、国立新美術館、そして、リツィートはしているがリプライしていないのがナガシマリゾートということになる。(ナガシマリゾートは施設の情報更新を行うボットだと明記しているので、リプライはせず、マニュアルで2回リツィートしたようだ)
その中で1人のユーザもフォローしていないのが、東京ディズニーランド・シー、海遊館、国立新美術館だ。
フォローされたからフォロー返しするといった単純な構図もあるが、価値のあるニュース・情報・コンテンツを提供してくれるアカウントをフォローする場合、先方がこちらをフォロー返ししなくても別に気にはならない。だから、1人もフォローしていないアカウントも成立する。
しかし、リプライやリツィートはちょっと違う。
レジャー・集客施設のほうで「リプライ」はしませんと明記している所以外、リプライは個別ユーザのツィートに対して返信したり、なんらかの発信内容に個別ユーザのアカウント名を入れたツィートを発信することになるので個別ユーザ対応をしてくれることになる。リツィートは自分のフォロワーに対して個別ユーザのツィートを共有することになるので、その価値を認めたことになる。いずれも顧客・利用者・ユーザの個別対応や彼らのツィートをチェックしていなければできない作業だ。
自分のツィートに対してちゃんとリプライしてくれるのは当然うれしい。そして、「なんらかの発信内容に自分のアカウント名を入れたツィートを発信」された側からすると、ちゃんと自分のことを覚えてくれていることが分かり、これもまたうれしい。
リツィートされたユーザ側から見ると、レジャー・集客施設が抱えている何万人、何10万人というフォロワーに自分のツィートが共有されたことになる。もう、天にも昇る気持ちになる。自分のフォロワーも少しは増えるかと期待するし、リツィートしてくれたレジャー・集客施設に感謝の気持ちが一杯になる。今まで以上のロイヤルユーザになってゆく。
そしてリプライやリツィートされた側は、それを引用したり、リツィートすることで自分のフォロワーに施設との会話を共有してくれる。自分だけではなく、レジャー・集客施設も含めて。
こういったこと、個別ユーザ対応やロイヤルユーザの育成、そしてレジャー・集客施設の露出拡散を排除しているのが、リプライもリツィートもしていないレジャー・集客施設ということになる。
先ほどツィートおよびフォロー数でトップだったUSJだが、リプライが44%、リツィートが14%、3,823回のツィート中58%が他ユーザへのレスポンスとなっていて、USJが各種プロモーションやアトラクション案内をイニシエートしたのは42%(1,609回)となる。リプライ率、リツィート率ともに2位だ。
以下のようにリプライあり、リツィートあり、楽しい会話が成立しているのが見て取れる。
もうひとつ、富士急ハイランドもリプライが46%、リツィートが28%、1,505回のツィート中74%が他ユーザへのレスポンスとなっていて、各種プロモーションやアトラクション案内を行ったのは26%(379回)となる。富士急ハイランドはリプライ率、リツィート率ともに1位だ。
こちらはフォローしたユーザへのフォロー返しを伝えたり、体験を送ってくれた利用者に本当に楽しげに返信している。
リプライやリツィートの面で考えると、USJや富士急ハイランドのTwitterアカウントのほうが、顧客・利用者・ユーザの体験価値を認め、自身のフォロワーに共有している。個別ユーザ対応を行い、ロイヤルユーザ育成を着実に行っていると見える。
レジャー・集客施設のツィートを見てくれているかよく分からないフォロワーを沢山抱えているよりは、個別ユーザ対応や、ロイヤルユーザ育成を行っている方が、コミュニケーションとして成立していると思える。
また、コミュニケーションが成立しているとすると、レジャー・集客施設の露出拡散という面からこの2施設は、フォロワー数だけで判断できない効果を上げているはずだ。
よく、「フォロワー数が1,000を超えました。ありがとうございます」といったツィートを見かけるが、本当に評価、モニターすべき指標は、リプライやリツィート率・数、そして個別ユーザの引用・リツィート数だということになる。(ただし、これを計測するのは難しい)
最後に、集客施設上位のソーシャルメディア対応の現状:その1としてまとめると、
- レジャー・集客施設のTwitter対応はまだこれから
- 既存のレガシーコミュニケーションの手法をそのまま応用したTwitter活用が目立つ
- ソーシャルメディアというオープン、双方向、対等なコミュニケーションチャネルとしてTwitterを活用するという理解ができているのはごくごく少数派
- 個別ユーザ対応、ロイヤルユーザ育成を実行できているのはごくごく少数派
- 効果指標として、フォロワー数ではなく、リプライ・リツィート率・数を見ている所はいない(かもしれない)
- 発信するニュース・情報・コンテンツのキュレーションができていない
6に関しては今回書いていないが、これが本当に肝になる所なので、別途書くことにします。
さて、集客施設上位のソーシャルメディア対応の現状:その2(Facebook)に関しては次回(書くかも...)
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