2012年5月17日木曜日

ユーザ参加を促進するパターン:その1

12,730人のTwitterフォロワーと、42,194人のFacebookファンを持つ米National Aquariumが、Twitterで「愛する人のために自分が行ったロマンチックなことをツィートしてペア入館券を当てよう」というコンテストをやっていた。
バルチモアとワシントンに水族館を持つ非営利団体が行ったコンテストは、5月16日の午前9時から午後3時30分までという短時間に、@NatlAquariumをフォローして#ROEmanceを入れたツィートをしろというものだ。

実質的に14人が、15件のツィートを発信し、数人がコンテストについてツィートしていた。

チケットが当たったのは、以下をツィートしたStephanieだった。 当日告知、当日締切、当日発表という非常にタイトなスケジュールで行われた今回の場合、「チケットをプレゼントしますからフォローしてください、ツィートしてください」とリクエストしてもTwitterフォロワーの0.1%程度の反応しか得られなかった、あるいは0.1%程度も反応が得られたということになる。

これがすべてではなく、始まりなので余裕のあるスケジュールでの再トライ、告知方法の見直しなどブラッシュアップしてゆけばいい。

とに角、「ご案内」、「ご連絡」といったツィートをするだけではなく、ユーザの参加を募る、ユーザの自発行動を促すアプローチが必要になっているということだ。そこから、上のように数人がリツィートしたり、コンテストを紹介するツィートであったりと、広がってゆく。そういった次のステップにNational Aquariumは入っているということだ。

最後に、当選したStephanieに「詳細を知らせるからDMしてね」とツィートしたNational Aquariumに対して、「フォローしてくれないとDMできないわ」と返されたところを見ると、Twitterの仕組みをまだまだ理解していないNational Aquariumの背中をどやしつけたくなる。

「しっかりせいや」と。

2012年5月16日水曜日

Pinterestを導入しているダラス美術館

昨日、ダラス美術館のアニュアルレポートについて書いた処だが、

参考:マサダ ダラス美術館のアニュアルレポートはどこにある?

下のように ダラス美術館のトップページ、センターにコミュニティというセクションがあり、参加している、活用している各ソーシャルスペースのアイコンが所狭しと並べられている。(クリックでサイトへ)


Facebook、Twitter、Flickr、YouTubeはもちろん、ブログ、RSSフィード、LinkedInもあるし、果てはトリップアドバイザー へのリンクまである。

そんな中でも目を惹いたのは、Pinterestだ。画像や動画の共有サービスとして急速に勢力を拡大しているPinterestをすでにサポートしているということだ。


美術館と言えば所蔵品の複製に対して神経質になるところだが、ダラス美術館はその逆路線を走っているかのようだ。Pinterestユーザの画像共有に参加し、フォロー・フォロワー関係を構築し、ユーザ・オーディエンススペースで所蔵品に「ピン」をつけてもらうことで、自施設のプレゼンスを拡大しようとしている。

昨日書いたScribdにアニュアルレポートのPDFをアップさせ、露出・共有を促進させていることと加えて、もう、逆転の発想というよりも、逆転すべきレガシー的な発想が頭からないのかもしれない。ダラス美術館のマーケティング担当者は、それこそミレニアル世代であり、ネットとPC、携帯・スマホ、SNSが大前提にくるマーケティングマインドを持っているようだ。その担当者が利用者・オーディエンスであるミレニアル世代と全く同じ土俵に立って会話をしているかのようだ。これは、そこらにある一般事業会社のマーケティングマインドをはるかに飛び越えたレベルに達している。

このギャップは途方もなく広く、深く、埋めようもないものに映ってしまうが、一方、日本だってミレニアル世代がいる、彼らに期待しようと思う部分がせめぎ合っている。

2012年5月15日火曜日

ダラス美術館のアニュアルレポートはどこにある?

以前、SFMOMAのアニュアルレポートがiPadアプリで配布されていることを書いた。

参考:マサダ マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA

今度は、ダラス美術館がアニュアルレポートが完成したことをツィートしていた。
SFMOMAのようにiPadレディーではないけれど、何が特別かと言うと、ダラスの場合、ホスティングターゲットにScribdを使っていることだ。
(下画面にある「ダウンロード」「今すぐプレイ」は広告なのでクリックしないこと)
出典:Scribd Dallas Museum of Art

Scribdは約5000万人@月のユニーク訪問者数を抱える、いわゆる文書共有サイトとして様々な利用がされている。個人、企業、団体がプライベート、パブリックの文書をアップして様々な共有を行っている。そんなScribdに美術館のアニュアルレポートがアップされている。

Webサイトではどうなっているのか見にいくと、驚いた。美術館のWebサイトにPDFを置くのではなく、Scribdにおいたファイルを表示させていた。
出典:ダラス美術館

ダラス美術館は、初めてエレクトロニクス化したアニュアルレポートを、自施設Webにおくのではなく、Scribdに上げ、そこからFacebook、Twitter、LinkedIn、Google+などでの共有、ファイルのエンベッド、コピー、コレクションと言った機能を使わせることをメインに考えている。

自施設Webサイトへのトラフィック、ソーシャルプラグイン、ダラス美術館のソーシャルメディアプレゼンスなどを考慮しても、Scribdにアニュアルレポートをおいた方がダウンロード・共有率が高いと読んだ末の結論ということになる。

MOMAならいざ知らずダラス美術館のWebトラフィックでは...、といった否定的な判断ではなく、ソーシャルスペースのScribdとそのユーザが持つパワーを理解すればこその英断だ。

翻って国内にある9分類の博物館が利用者にも分かりやすいアニュアルレポートを作成し、それをユーザが活動するスペースに置いて、露出拡散・共有を図っているかとなると、まだまだのようだ。今こそ、物理面での入館者というクローズドな定義ではなく、自施設の利用者・ネットオーディエンスというバーチャル、オープンな定義を使うべきだと思うがいかがだろうか?その定義を使った施策が求められる時代になってきたと思うがいかがだろうか?

2012年5月14日月曜日

新しい美術・博物館は必要ですか?

The Art Newspaperというメディアがあって、2006年から世界各地の美術・博物館の来館者数を出している。直近2年間の数字を見ると、世界的な観光地、ルーブルがダントツだ。

2010年のトップ10
  1. Louvre, Paris                               8,500,000
  2. British Museum, London              5,842,138
  3. Metropolitan, New York                5,216,988
  4. Tate Modern, London                   5,061,172
  5. National Gallery, London             4,954,914
  6. National Gallery, Washington       4,775,114
  7. MOMA, New York                        3,131,238
  8. Centre Pompidou, Paris               3,130,000
  9. National Museum of Korea, Seol   3,067,909
  10. Musee d'Orsay, Paris                   2,985,510
出典:The Art Newspaper Exhibition & Museum attendance figure 2010 (pdf)  

2011年のトップ10
  1. Louvre, Paris                                8,888,000
  2. Metropolitan, New York                 6,004,254
  3. British Museum, London               5,848,534
  4. National Gallery, London               5,253,216
  5. Tate Modern, London                    4,802,287
  6. National Gallery, Washington        4,392,252
  7. National Palace Museum, Taipei     3,849,577
  8. Center Pompidou, Paris                 3,613,076
  9. National Museum of Korea, Seoul   3,239,549
  10. Musee d'Orsay, Paris                     3,154,000 
出典:The Art Newspaper Exhibition & Museum attendance figure 2011 (pdf)  

基本的にトップ10の顔触れは変わらず、来場者数が増えている。しかし、TateとNational Gallery(Wash)はそれぞれ20万、40万人減ってはいるがトップ10に踏みとどまり、MOMAが30万人以上減って圏外へ、入れ替わりで台湾の故宮博物館がトップ10入りを果たしたといったところだ。

ちなみに、日本の博物館はというと、
  1. 東京国立博物館:   2010年 1,271,174人(31位)、2011年 1,629,333人(22位)
  2. 国立新美術館   :   2010年 2,027,980人(17位)、2011年   680,242人(80位)
  3. 国立西洋美術館:   2010年   544,731人(91位)、2011年  不明
  4. 京都国立近代美術館:2010年  532,427人(93位)、2011年  不明
  5. 東京国立近代美術館:2010年   482,757人(100位)、2011年  不明
となっている。2011年の西洋美術館、京都・東京の近代美術館はトップ100に顔を出していないため順位は不明だが、100位が55.6万人なのでそれ以下となる。

「マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA」で出した国立美術館の入館者数と若干相違しているので、どこまでこのデータが信頼できるかはさておき、 国立と名を冠した博物館、美術館でも年間50万人を切っているところがある。

参考:マサダ マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA

日本を代表する「国立??」といった首都圏・大都市の博物館でもこうなので、それ以外の各県にある美術・博物館の来館者数は推して知るべきだろう。博物館はとにもかくにも来館者を増やす策が求められている。新聞・テレビ会社を共催、後援につけられるところはまだましで、意外性のある独自の企画展、県内外の美術・博物館とのコラボや、それこそ一般事業会社のスポンサーシップを求めるといったケースがあるかもしれないほどプロモーション策が練られている。

それでも、ある美術館の館長さんは「どこも状況は厳しいけれど、前向きプラス思考で行きましょう!!」とつぶやくほど来館者状況は厳しいようだ。

「博物館に未来はあるのか?」で書いたように、日本では過去12年間に博物館数が28%も増えて、入館者数は613万人(2.1%)も減っている。

参考:マサダ 博物館に未来はあるのか?

それにも関らず、いくつかの県では新しい美術館、博物館が建設されようとしている。新しい美術・博物館は本当に必要でしょうか?箱モノを作るだけが目標でしょうか、それとも箱モノに入れるモノまでを考えた上での目標をお持ちでしょうか?

そして、もし作るとするならば、十分なヒアリング、各種調査や現状認識からテート美術館のようなマーケティング戦略を構築し、SFMOMAとはまでは行かずとも、IT・システム部門、マーケティング部門、出版・Web部門を置き、何人かを配置した上で運営してゆく必要がある。それなしに作る新しい美術・博物館は最初からつまづく可能性が高いのではないだろうか。

是非、みなさんの意見をお聞きしたいと思っていますので、コメント、ツィートなんでも結構ですのでご意見をお寄せ下さい。宜しくお願いします。

2012年5月11日金曜日

マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA

サンフランシスコの現代美術館、SFMOMAがiPadアプリを提供してアニュアルレポートを配布している。これは美術・博物館として世界初の試みだそうだ。


出典:SFMOMA ニュースリリース
出典:ArtDaily.org ニュース

iPadであれば各種マルチメディア機能を駆使してSFMOMAの2011年版アニュアルレポートを堪能できるわけだ。ただ、iPadがないユーザにも普通のPDFファイルを提供してくれている。

そのPDFの巻頭を飾る3ページ目に「BY THE NUMBERS」というセクションがある。


出典:SFMOMA 2011年アニュアルレポート

曰く、
  • 入館者数 636,057人
  • Webビジット数 2,855,000
  • Facebookファン 56,046人
  • Twitterフォロワー 238,265人
  • ブログ記事 325本
  • email購読者 15,994人
  • YouTubeビデオ再生回数 120,273回
  • ポッドキャストダウンロード数 2,939回
  • モバイルツアー参加者 50,471人
これ以外にも様々な指標ごとに実績が挙げられている。当然、アニュアルレポートなので財務ハイライトもあり、展覧会・企画展やイベント、ワークショップごとの詳細も記載されている。

アニュアルレポートは2011年6月締めなので、以前、紹介したMuseum Analytics(beta)による最新データでは、SFMOMAは米国内の博物館入場者数ランキングでは70万人で14位、Twitterフォロワーは 33万人超で8位、Facebookファンは7.2万人強で19位となっている。ま、中堅の博物館としての位置づけになるのだろう。

参考:マサダ 日本の美術・博物館の50%は新しいことに挑戦していない?

その中堅博物館が、取り入れている施策、指標に注目せざるを得ない。SFMOMAは、Webは当然、そしてFacebook、Twitter、ブログ、YouTube、ポッドキャスト、emailニュースレターなどを活用したマーケティングを行っている。そして、その取り組みの実績をきちんと明示している。

さて、日本の独立行政法人国立美術館には、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、国立西洋美術館、国立国際美術館、国立新美術館の5館があり、それをまとめた年度ごとの実績報告書が上っている。直近3年での各館ごとの所蔵作品展、企画展ごとに入館者数を見ると表のようになっている。


出典: 独立行政法人国立美術館 実績報告・評価等

これを見ると、おおざっぱに言って、SFMOMAは東京国立近代美術館(本館+工芸館)と同じくらいの入館者数を持っていることになる。

そして、その中堅博物館のSFMOMAは、Facebook、Twitter、ブログ、YouTube、ポッドキャストなどの様々な施策を立案、企画、実施し、入館者・アクセス・ダウンロード・コメント・いいね!・シェア・リプライ・RT・お気に入り・その他を増やそうと努力している。ユーザが活動するスペースに参加して、情報・コンテンツを発信し、共有・拡散してもらうための努力を行っている。その最新施策がiPadだ。iPadアプリを開発して無料提供し、アニュアルレポートをより多くの人、博物館利用者、寄付を行ったり活動をサポートしてくれる人達に分かりやすく提供しようとしている。

一方、日本の(独法)国立美術館は...?

上の実績報告・評価には、SFMOMAのように各種施策ごとの実績はない。すなわち、そういった施策を実行していないということになる(見落としただけかもしれないので、ご存知の方はご一報ください)。

実のところそういった施策は必要ないのかもしれない。常設展はいざ知らず、企画展になると様々な共催社の名前がある。新聞社、TV会社、海外美術館、文化庁、その他の支援、後援、協力があり、彼らの強力なメディア露出でプロモーションが行われている。だから、SFMOMAのような手間暇、時間、コスト、人的リソースがかかる施策をやる必要はないのかもしれない。

だって、本部(ポータル)および5館のWebアクセスを見ても京都を除けばSFMOMAの285万ビジットより多い。数倍あるところもある。多くの人がWebへアクセスしてくれる事実があるのだからと。


しかし、国立と名のつかない中堅の美術・博物館は、SFMOMAと同様、いやそれ以上にユーザが活動するスペースに参加して、情報・コンテンツを発信し、共有・拡散してもらうための努力を払う必要があるだろう。

SFMOMAのアニュアルレポートには、IT・システム部門が6名、マーケティング部門が9名、出版・Web部門が10名、それぞれ個人名が記載されている。全体で約200人のスタッフ、アシスタント(アルバイト?)のうちの25名、全体の12.5%、八分の一のスタッフが、学芸員を中心とする美術館のコア(?)業務以外に配置されている。

ここまでのリソースを配置することは日本の中堅美術・博物館には無理かもしれない。しかし、「中の人」だけの思考では、「外の人」の行動パターンも分からず、それに則したアプローチもできない。実のところ、外向け業務こそコア業務だとすれば、おのずと、やるべきことは見えてくる(はず)。

しかし、それにしても国立美術館のうちTwitterを使っているにもかかわらず、1人もフォローせず、リプライもRTもなく、お気に入りやリストを使ったこともないアカウントを見ると、「中の人」だけの思考だなと思ってしまう。

累計4,460件のツィート中6.15%=274件のリプライ、27.27%=1,216件のRTをやっているSFMOMAと比べて、日本の国立美術館のツィートは、残念ながら誰の耳にも届かない「ひとり言」になっているとしか思えない。

SFMOMAは、リプライやRTするために耳をそば立てている。ユーザの声を聞こうとしている。聞いた声に対してレスポンスを返している。それがコミュニケーションだということを理解している。そのコミュニケーションがなければ、自身の言葉やメッセージ、コンテンツが伝わらない、共有してもらえないことを理解している。
出典:TweetStatas.com / SFMOMA

考えてもみてください。あなたが自宅にいる時、メガフォンで「粗大ごみの無料回収車です。パソコン、洗濯機、テレビなど処分にお困りのものがあれば無料で回収します」とがなりたてる音、声、メッセージに耳を貸しますか?

うるさいと怒鳴っても仕方がないので、回収車が通り過ぎるのを待つだけではありませんか?メガフォンマーケティングから会話、コミュニケーションの糸口は開かないのではありませんか?

もうひとつ考えてみてください。もし、あなたの施設が1995年に初めて開設されたスミソニアン博物館のWebサイトと同じ機能しかないとしたら、現在のユーザニーズにどれだけ対応できると思いますか?Webサイトへのトラフィックを計測するだけでユーザスペースに参加していると思いますか?

それとも、あなたの施設のWebは17年前のスミソニアン博物館のWebサイトが提供する機能・サービス・コンテンツ以上のものを提供していますか?


出典:Smithsonian Institution Archives

最後に、上の画像の利用許可を昨日の午後3時、スミソニアン博物館にTwitterで行ったところ7時間後の午後10時、時差を考えれば即リプライが来た。


こういった対応が今のネット時代には必要と思われますか、それとも不要だと思われますか? 米国なら至極当然と考えられるユーザ対応は、「日本」という冠を抱く国立美術館には不要でしょうか?あるいはその他大勢の中堅博物館には不要でしょうか?

2012年5月10日木曜日

広告を掲載するほど機能している名古屋市科学館Webサイト

名古屋市科学館のトップページ下に広告セクションがある。(下をクリックでオリジナルサイトへ)
この広告募集ページに、月平均アクセス件数としてトップページで約40万件という数字が出ている。これがどれほどのものかを確認してみるため、グーグルトレンドで、名古屋市科学館、東京の科学技術館、大阪市立科学館を比べてみた。

すると過去12カ月で継続してユニークビジターが出ているのは名古屋のみ。東京も大阪も継続したアクセスが記録されていないし、どうやら名古屋の半分にも達していそうにない。
出典:名古屋市科学館 広告募集
出典:グーグルトレンド

通常展示に加え、プラネタリウムもあるので名古屋科学館のアクセスが多い、とは言い切れない。大阪にもプラネタリウムはあるし、東京だってプラネタリウムはないけれど各種展示が充実している。

なぜ名古屋市科学館へのアクセスが多いのかは本題ではないので、お分かりの方、ご教授願います。


本題は、とに角、東京や大阪の類似施設よりもアクセスの多いWebサイトを持つ登録博物館である名古屋市科学館が、Webサイトのトップページ下に16枠の一般企業・大学などの広告を掲載していることだ。

ま、名古屋と言えばの人もいるけれど、広告掲載要項を見る限りその人が市長になる前の平成19年から始まっている。全16枠で年間230万円の売上となるわけだが、こういった手法が実施されていることに拍手を送りたい。

他にも美術・博物館、水族館、動物園など、同様手法を取り入れているところはあると思うが、まだ拝見したことはない。

さて、各種博物館は当然、Webサイトを構築し、情報提供を行っている。自施設について、展覧会、企画展、公募展、「??美術館展」、学芸員トークやワークショップイベント、バックヤードツアー、メールマガジン発行、ご意見・ご感想の受付、お問合わせや調達情報、メディア対応等、そのコンテンツは千差万別だが、充実していることは言うまでもない。

そして、これらコンテンツの価値は途方もなく高い。

ただし、「もし、Webに相応数のユーザがアクセスしてコンテンツを消費、共有してくれているとしたら」、という条件がつくのも言うまでもない。

価値の高いコンテンツが存在することに意味はあるが、消費・共有されたコンテンツの価値はその数倍、数十倍、数百倍にも達する。消費・共有するためにユーザがアクセスするWebサイトに意味はあるが、アクセスされないWebサイトの意味は軽く薄い。価値の高いコンテンツが可視化されていなければ、あるいは消費・共有されていなければその意味も価値もないに等しいと言うと言い過ぎだろうか?

名古屋市科学館Webサイトへのトラフィックは多く、Webサイトの価値のあるコンテンツ・情報に多くのユーザがアクセスしてコンテンツが消費・共有されている。月40万ページビューを稼ぐゲートウェイ、コミュニケーションチャネルとして機能している。それだからこそ、科学館が持っている価値のあるコンテンツに上乗せする年間230万円という価値を生み出している。

この価値を東京国立近代美術館、国立新美術館、国立西洋美術館と比べてみる。さすがに国立という冠を載せたWebサイトのトラフィックは多い。が、桁違いの差ではなく、名古屋市科学館Webサイトは常時2番目を死守しているように見受けられる。名古屋市科学館Webサイトはそれだけの価値を生み出している。
出典:グーグルトレンド

さて、以下の質問に答えられますか?
  • あなたの施設は名古屋市科学館Webサイトのように機能していますか?
  • 価値のあるコンテンツを掲載するトラフィックのないWebサイトがあるだけですか?
  • どれくらいのWebビジター数ですか?
  • 消費・共有してもらうためにマーケティング施策を実行していますか?
  • ブログ、Facebook、Twitterをやってますか?
  • 入館者数は何人ですか?
  • メールマガジンの購読者は何人ですか?
  • YouTubeビデオの再生回数は?
  • ポッドキャストのダウンロード回数は?
  • モバイルツアーに参加したのは何人ですか?

Webサイトだけではなく、全般的な博物館マーケティングに関する質問にちゃんとした回答を出している所がある。

そのサンフランシスコにある現代美術館、SFMOMAの話は明日。

2012年5月9日水曜日

グルーポンを利用した贈答チケット

ついこの前まで飛ぶ鳥を落とす勢いだったグルーポンを利用して、スキーリゾートなどもチケットを販売している。

下はその一例だ。これはすでに2011年1月13日に終了している。


上の画面に、「Buy it for friend」というボタンがある。

このボタンは2年ほど前から装備されていたので、今では、結構多くのクーポン販売で使われている機能だ。これをクリックすると、以下のウィンドウが表示される。


宛先、差出人、配達方法(メール、印刷)、メッセージを入力すればOKだ。これで友人だけではなく、親や親せき、知人、同僚へもギフトとして割引クーポンを送ることができる。

ロンドンのグルーポンが提供しているQ&Aによれば、「定価表示だけで、購入金額は表示しない」そうなので、 ちゃんとしたギフトとして送れそうだ。

出典:グルーポン ロンドン

ギフトと言えば、なにもスキーリフトや母の日の花束に限った話ではない。それこそ、美術・博物館、水族館、動物園、テーマパーク、展望施設の入場券に展開できる話だ。

ところが、通常価格から大幅な値引きをし、かつ50%とも言われるグルーポンのコミッションを考えると、おいそれと入場券販売を開始するわけにはいかないし、贈答用として提供するわけにもいかない。

ただし、例えば限定千枚のギフトチケットを広告・宣伝費として計上できれば、スキー場であれ、美術・博物館であれ、面白いマーケティングができるはずだ。

美術・博物館や後援団体が使うメディアに加え、(潜在)入場者が活動するソーシャルメディアスペースに大きな花火と、一人ひとりが手に持つ線香花火の輪をつなげてゆくことができる。もし、これまでのマーケティングマインドを転換することさえできれば...。