2012年5月14日月曜日

新しい美術・博物館は必要ですか?

The Art Newspaperというメディアがあって、2006年から世界各地の美術・博物館の来館者数を出している。直近2年間の数字を見ると、世界的な観光地、ルーブルがダントツだ。

2010年のトップ10
  1. Louvre, Paris                               8,500,000
  2. British Museum, London              5,842,138
  3. Metropolitan, New York                5,216,988
  4. Tate Modern, London                   5,061,172
  5. National Gallery, London             4,954,914
  6. National Gallery, Washington       4,775,114
  7. MOMA, New York                        3,131,238
  8. Centre Pompidou, Paris               3,130,000
  9. National Museum of Korea, Seol   3,067,909
  10. Musee d'Orsay, Paris                   2,985,510
出典:The Art Newspaper Exhibition & Museum attendance figure 2010 (pdf)  

2011年のトップ10
  1. Louvre, Paris                                8,888,000
  2. Metropolitan, New York                 6,004,254
  3. British Museum, London               5,848,534
  4. National Gallery, London               5,253,216
  5. Tate Modern, London                    4,802,287
  6. National Gallery, Washington        4,392,252
  7. National Palace Museum, Taipei     3,849,577
  8. Center Pompidou, Paris                 3,613,076
  9. National Museum of Korea, Seoul   3,239,549
  10. Musee d'Orsay, Paris                     3,154,000 
出典:The Art Newspaper Exhibition & Museum attendance figure 2011 (pdf)  

基本的にトップ10の顔触れは変わらず、来場者数が増えている。しかし、TateとNational Gallery(Wash)はそれぞれ20万、40万人減ってはいるがトップ10に踏みとどまり、MOMAが30万人以上減って圏外へ、入れ替わりで台湾の故宮博物館がトップ10入りを果たしたといったところだ。

ちなみに、日本の博物館はというと、
  1. 東京国立博物館:   2010年 1,271,174人(31位)、2011年 1,629,333人(22位)
  2. 国立新美術館   :   2010年 2,027,980人(17位)、2011年   680,242人(80位)
  3. 国立西洋美術館:   2010年   544,731人(91位)、2011年  不明
  4. 京都国立近代美術館:2010年  532,427人(93位)、2011年  不明
  5. 東京国立近代美術館:2010年   482,757人(100位)、2011年  不明
となっている。2011年の西洋美術館、京都・東京の近代美術館はトップ100に顔を出していないため順位は不明だが、100位が55.6万人なのでそれ以下となる。

「マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA」で出した国立美術館の入館者数と若干相違しているので、どこまでこのデータが信頼できるかはさておき、 国立と名を冠した博物館、美術館でも年間50万人を切っているところがある。

参考:マサダ マーケティング施策の実績を明示するSFMOMA

日本を代表する「国立??」といった首都圏・大都市の博物館でもこうなので、それ以外の各県にある美術・博物館の来館者数は推して知るべきだろう。博物館はとにもかくにも来館者を増やす策が求められている。新聞・テレビ会社を共催、後援につけられるところはまだましで、意外性のある独自の企画展、県内外の美術・博物館とのコラボや、それこそ一般事業会社のスポンサーシップを求めるといったケースがあるかもしれないほどプロモーション策が練られている。

それでも、ある美術館の館長さんは「どこも状況は厳しいけれど、前向きプラス思考で行きましょう!!」とつぶやくほど来館者状況は厳しいようだ。

「博物館に未来はあるのか?」で書いたように、日本では過去12年間に博物館数が28%も増えて、入館者数は613万人(2.1%)も減っている。

参考:マサダ 博物館に未来はあるのか?

それにも関らず、いくつかの県では新しい美術館、博物館が建設されようとしている。新しい美術・博物館は本当に必要でしょうか?箱モノを作るだけが目標でしょうか、それとも箱モノに入れるモノまでを考えた上での目標をお持ちでしょうか?

そして、もし作るとするならば、十分なヒアリング、各種調査や現状認識からテート美術館のようなマーケティング戦略を構築し、SFMOMAとはまでは行かずとも、IT・システム部門、マーケティング部門、出版・Web部門を置き、何人かを配置した上で運営してゆく必要がある。それなしに作る新しい美術・博物館は最初からつまづく可能性が高いのではないだろうか。

是非、みなさんの意見をお聞きしたいと思っていますので、コメント、ツィートなんでも結構ですのでご意見をお寄せ下さい。宜しくお願いします。

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