Museum and the Web2012で、「People's Choice」と「Museum Professional」賞を受賞したMuseum Analytics(beta)による、「2010年世界の美術・博物館ランキング」を入場者数別に見ると、ルーブルが850万人でダントツの1位、大英博物館は584万人で2位、メトロポリタンが522万人で3位となっている。
トップ20位には欧米の有名美術・博物館が並んでいるが、9位に韓国の国立中央博物館、13位にロシアのエルミタージュ美術館、14位にブラジルのCCBBが来ている。日本はと言うと、国立新美術館が 203万人で17位となっている。(下図は分かりにくいのでクリックしてオリジナルを見てください。そして、「Offline」順に並べ替えてください)
ま、観光地と化している著名美術・博物館に太刀打ちできるわけもないが、上位20位までの美術・博物館でFacebookも、Twitterもやっていないのは日本の国立新美術館だけだが、話はそれで終わらない。
日本からは合計14の美術・博物館が登録されているが、国立西洋美術館、京都国立近代美術館、奈良国立博物館、東京国立近代美術館、横浜美術館、京都市美術館はFacebookも、Twitterもやっていない。
それに比べると米国(ランクされている館数1,384)、英国(200)、スペイン(56)、カナダ(96)、イスラエル(4)、スウェーデン(34)、デンマーク(9)、メキシコ(15)、コロンビア(3)、ニュージーランド(18)、カタール(2)、ポーランド(5)、アイルランド(9)、ギリシャ(5)、ノルウェー(8)、フィリピン(3)、ペルー(1)、オーストリア(12)、ハンガリー(4)、チェコ(2)、インド(1)、香港(1)は、すべてFacebookとTwitterの両方、あるいは少なくともどちらかを運用している。
(Museum Analyticsは3,000館以上をリストアップしているが、ベータ版ということで、国、都市が未分類の館がまだ多い)
ロシア(13)、仏(28)、豪(49)、独(58)、ポルトガル(26)、ベルギー(14)は、1か所だけがいずれもやっていない。韓国(5)は2か所、イタリア(34)は9か所、オランダ(165)は11か所、トルコ(5)は2か所、中国(2)は2か所がいずれもやっていない。
日本、ロシア、仏、豪、独、ポルトガル、ベルギー、韓国、伊、蘭、トルコの美術・博物館のいくつかは、FacebookおよびTwitterというソーシャルチャネルの恩恵に浴していないということだ。
これらの美術・博物館は、他の美術・博物館が入来場者に加えて、MOMAのように100万人以上のFacebookファンや97万人以上のTwitterフォロワーを抱えて、ダイレクトなコミュニケーションをしているにもかかわらず、新しいオーディエンスに彼らのスペースで語りかけることも、コンテンツを共有してもらうこともしていないことになる。
「特に日本は、中国の100%に次いで50%の美術・博物館が新しいことに挑戦していない」と書くと大げさで的外れになる。だが、中国からFacebook、Twitterができないことを考えると、日本の比率は他国に比べて異常に高いと言わざるを得ない。
このMuseum Analytics(beta)でカウントされていない、例えば、@MOMAT60th(東京国立近代美術館 開館60周年)といったアカウントもある。しかし、それは他国の場合も同じだろう。
年間50万人、100万人、200万人が入来場しているからそれでいい、ということには絶対ならない。ということを理解しているからこそ、他国の美術・博物館は、手間暇、時間、予算、人的リソースを割いてソーシャルメディア対応を行っている。それに引き換え、日本の美術・博物館は遅れていると言わざるを得ない。
ガラケーと同様にガラミュー(ガラパゴス・ミュージアム)という言葉が独り立ちし、独り歩きをしないように期待したい。
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