前文によると、
テートオンラインの目的は、英国および世界の現代美術の理解を深めるというテート美術館のミッション完遂を支援すること。テートオンラインは急速に拡大し、可能性の大きなデジタルコミュニケーションを背景として、新しいやり方で新しいオーディエンスにリーチし、エンゲージする。そうだ。
テート美術館を体験するオーディエンスを確保し、育成し、その幅を広げたい。現在の利用者から将来の新しいオーディエンスを育成したい。特に、より幅広い若年層にフォーカスしたい。
次に現状認識を挙げている。
近年の大変革(ブログ、Flickr、YouTubeなどの自己発信、Facebook、Twitterなどのソーシャルネットワーキング)が、ユーザとの相互やり取りをもたらしている。だから、ミッション・ステートメントを踏まえた上で、テート美術館は、コンテンツへのアクセス及びオンラインでの人対人のコンタクトを求めるWebユーザのリクエストに応えるため、彼らが集まっているスペースでコンテンツをオーディエンスに提供する。
それによりユーザは、デジタル、ソーシャルメディア(スペース)においてコンテンツが提供されることを当然のことだと期待している。
ソーシャルWebを使い、文化施設自身がオープン化することで、広範なオーディエンスとの会話の道を開き、エンゲージメントや相互理解をもたらすことができる。
としている。
そして、ゴールを設定している。それも12ものゴールを設定している。
- 文化面での世界最先端のソーシャルメディアプラットフォームになる。
- 現在のオーディエンスと革新的な方法でエンゲージし、新しいオンラインコミュニティを構築する。
- 美術館内部の多様な意見とコミュニケートする。
- オーディエンスがアクティブなオンラインにおいてコンテンツを提供する。
- テート美術館のWebサイトへトラフィックを誘導する。
- 国内ユーザの来場を促進する。(オンラインコミュニティの60%は海外、国内は40%)
- ソーシャルメディアチャネルを通常のマーケティングチャネルに統合する。
- 多様な収入ストリームからの販売増を目指す。
- ファンがテート美術館をアドボケートすることを促進する。
- 新しいオーディエンス層を開拓する。
- テート美術館の重要な戦略メッセージの認知を増加する。
- 他施設との連携によりテート美術館のオンラインフォロワーを増やす。
そして、ソーシャルメディア戦略を評価するための指標を定めている。
- テート美術館のソーシャルメディアとエンゲージするユーザ数を増やす。
- ソーシャルメディアからテート美術館Webサイトへのリフェラル数を増やす。
- ソーシャルメディア戦略の結果として、来場者数を増やす。
- RT、いいね!、シェアしたオーディエンスのアドボカシーを計測する。
- テート美術館内でのソーシャルメディア利用を増やす。
- ソーシャルメディアユーザのデモグラフィックスを可能な限り分析する。
- コンテンツのタイプごとにその効果を計測する。
他にもいろいろとあるが、これだけで十分だろう。
それにしても、ここまですごいミッション・ステートメントを見たことがない。名にしおうIT企業でも、世界最先端のプラットフォームになるとまで書き込んでいるステートメントはないだろう。
AlexaからTate.org.ukへの流入トラフィックを見ると、Facebook、Wikipedia、t.co(Twitter)、Alexa、YouTubeなどからのトラフィックシェアは18%を越えている。
出典:Alexa.com
Momaでも約13%だったソーシャルメディアスペースからの流入トラフィックが18%を越えているということは、ミッション・ステートメントに書き込まれたゴールに近い位置にまで来ていることを伺わせる。
彼我の差は途方もなく大きく感じられるが、埋められない差ではないと思う。もし、この現状認識を共有することさえできれば...。
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